公民館や集会所とは異なる地域の公会堂

 先日、調査研究活動の一環として、キャンパス周辺の地域の単位地区自主防災隊のインタビューを行なうため、インタビュー協力者に案内された地域の「公会堂」に赴きました。その調査の帰り道にインタビューの補助をしてくださった方が「「公民館」と「公会堂」ってどう違うんですか?」と尋ねてきました。うーん、確かになんで違うんだろうなと考えて、行政的な意味合いが強いのが公民館で、ローカルな意味合いが強いのか公会堂ではないかという推測を述べました。

 公民館に関しては「社会教育法」の第五章(第二十条〜第四十二条)に規定があり、公営を基本とするようです。筆者らが訪れた公会堂は、見たところ町民が管理しているように見えました。

(目的)
第二十条  公民館は、市町村その他一定区域内の住民のために、実際生活に即する教育、学術及び文化に関する各種の事業を行い、もつて住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与することを目的とする。
(公民館の設置者)
第二十一条  公民館は、市町村が設置する。
2  前項の場合を除くほか、公民館は、公民館の設置を目的とする一般社団法人又は一般財団法人(以下この章において「法人」という。)でなければ設置することができない

(太字は筆者/引用:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S24/S24HO207.html#1000000000005000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000

 公会堂は法律による規定はみられませんが、歴史的には公営、民営とも存在していたようです。ただ、ここで言及されている公会堂というのは例えば「はまホール」の名前で親しまれた「浜松市民文化会館」のような、大規模な公衆講演に適した「集会所」「講堂」を指しているようです。筆者らが訪れた地域の公会堂は主として地域住民が集い、自治会活動に特化した施設ですので、「集会場」的な公会堂とは区別して捉えるのが妥当でしょう。

公衆のための公益的な大集会行事に適した会堂のこと。これにあたる英語はパブリック・ホールpublic hallで、福沢諭吉らの唱道した「演説会」――のちに講演会・雄弁会等も加わる――を晴雨にかかわらず開催できて、しかも営利性と無関係な会場を要望する声が強い世論となって造営されることになった。いわば大正デモクラシーの象徴ともいえる建造物である。地方自治体による公営のもののほかに、地区住民自治組織で設ける民営のものも相当数あった。市立として早くできたものに、京都市岡崎公会堂(1916)、大阪市中之島公会堂(1919)、東京市墨田公会堂(1926)、同日比谷(ひびや)公会堂(1929)などがあり、たとえば岡崎公会堂では1921年(大正10)アインシュタイン博士の講演会が行われた。

(太字は筆者/出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)/引用:コトバンク「公会堂」 https://kotobank.jp/word/%E5%85%AC%E4%BC%9A%E5%A0%82-494308