あるICTシステム「X」を作るとする。

※ICT…Information and Communication Technology、情報と通信コミュニケーションの技術
卑近な例では、LINEやSkypeツイキャス、それからここFacebookなど。

IS的思考パターンでは、「社会とはこうである」という仮説を常識的な感覚から組み立てて、そのような「社会」に実装可能にするためにICTシステム「X」はどのような構造が望ましいのかを考える。湯浦先生の詳しい分野だと思う。

CS的思考パターンでは、ICTシステム「X」の社会的な位置や構造は既に合意が取れていて、主問題となるのはシステムとしての機能の満足や性能の向上になってくる。そこでは、利用者対システム、開発者対システムという関係とそれを取り結ぶ評価基準に還元される。つまり、人間対システムの次元であり、社会は別の次元か、後景におかれる。CS系研究室では概ねこの方針を取っているのではないかと思う。

これらのパターンでは、「社会」を括弧書きにして理解・判断・了解した上でICTシステム「X」について思考を始めるのに対して、ID的思考パターンでは、この括弧書きされた「社会」のありようや、「社会」の括弧書きのされ方について調査する。それを踏まえて、既にあるICTシステム群から「社会」がどのような影響を受け、そのような「社会」では、どのような新しいICTシステム「X」が望ましいかを考える。

以上は皮肉めいたものではなく、どれが良くて悪いか、優位であるべきかといった規範的な議論でもなく、それぞれに強み弱みがあるので、お互いのポジションを知っとくと情報学部の外向けにも内向けにもコミュニケーションが取りやすくなりますよね、という提案をするための、自分なりのコースに対する認識である。

今年できた行動情報学科のポジションをどう捉えればいいのかは、まだわからない。